Sweet Pool 同人志 日文翻译版(好象是官方的...)
夕映え
晚霞
原作:渊井镝
いつもと変わらぬ电车の振动が体に响いてくる。午后2时を少し过ぎた顷、やや混雑した车内で吊り革に掴まっていた哲雄は、ふいにあることを思い出した。
电车驰行的频率依然故我,身体也随之倾摆晃动。午后两点刚过,稍显拥挤的车内,手握吊环的哲雄,不意间陷入了沉思。
まだ、自分が学生だった顷。
那时,清晨的电车中。自己还是学生的时候。
鼻先を掠めた甘い匂いに视线を向ける。たくさんの乗客に埋もれるように……蓉司がいた。
鼻尖有甘美的气息掠过,视线便循了这轨迹而去。在摩肩接踵的人堆里挣扎着的是……蓉司。
偶然同じ车両に乗ってきた蓉司は、青白い颜をして见るからに具合が悪そうだった。
偶然乘坐同一辆电车回家的蓉司面泛苍白,一看既知,身体状况恐怕不太妙。
できるだけ周囲の迷惑にならないように気を配りながら、哲雄は少しずつ蓉司のそばへ近付いた。今にも倒れてしまいそうだったからだ。
尽量注意着不要惊扰到身边的乘客挤过去,哲雄一点一点的蹭到了蓉司身边。看上去,后者似乎随时都有倒下的可能。
电车が大きく倾いた时、立っているのもつらそうな蓉司の体が揺れた。
电车大幅度倾斜的时候,硬撑着身体不适、一直勉强自己的蓉司终于开始脱力下滑。
とっさに、腕を伸ばしていた。凭れ挂ってくる重みを受け止める。
瞬间,胳膊就这么伸了出去。哲雄接住了依靠过来的全部重量。
蓉司は颜を上げる気力もないのか、ぐったりと哲雄の胸に体を预けてきた。そのままじっとして动かない。
蓉司连抬头看人的力气都没了,软绵绵地倚在哲雄的胸前。而后便巍然不动。
弱々しい呼吸。止まってしまうのではないかと心配になるほどに。
呼吸很微弱。该不会就这样停止呼吸了吧……越发担心起来。
吊り革に掴まりながら视线を落とすと、病的なほどに青白いうなじが目に焼きついた。
一手抓住吊环,哲雄俯视着怀里的蓉司。首先映入眼帘的是病态般的苍白脖颈。
汗に濡れた黒い髪が几筋か张りつくそのさまは、妙に艶かしい。
几绺汗湿的黑色发丝粘在上面,散发出难以言喻的艳丽之感。
そして、肌にうっすらと渗む、赤。
而后,肌肤下隐约渗透出的红色。
おそらく、血だろう。何故そんなところから渗んでいたのか、その理由を考えるよりも先に目を夺われた。
那是血吧。在思考着“为什么血会从皮肤里面渗出”之前,此情此景已经先一步摄人心魂。
その色があまりにも鲜やかで……触ってみたいと、そう思った。
那颜色如此鲜艳……鲜艳到想要去触碰。
うなじに、血に、触れてみたい。
脖颈,血,都想去触碰
それから目的の駅につくまで、腕の中の重みと温度がやけに大切なもののように感じられた。
随着目的地的进一步临近,哲雄越发感觉到双臂中这股重量和体温已经成为了自己的宝物。
大切な―
最重要的宝物——
あれから、2年后。
两年后的某天。
その日の仕事が休みで、哲雄はある约束のために身仕度を整えていた。
那天不用上班,哲雄正在为即将前往的约见做准备。
待ち合わせの时间は午后3时。相手の住まいの最寄り駅に自分から出向くことにした。小さな子供がいるためだ。
见面的时间定为下午三点。地点定在离对方的住处最近的车站,因为对方是带着小孩子的。
今日はこれから、蓉司の姉と会う。
今天接下来的时间将全部属于蓉司的姐姐。
姉については蓉司から闻いていたものの、名前や住まいなどは何も知らなかった。だから少し时间が挂かったが、なんとか探し出した。
虽然之前常从蓉司的口中听到有关姐姐的事情,但对方到底姓甚名谁,家住何方却全然不知。所以,稍微花了点时间,好在最终总算是打听清楚了。
电话で蓉司の同级生だったことを告げると、姉は自ら哲雄に会いたいと申し出てくれた。在电话中告知了自己是蓉司的同班同学后,电话那头的本人提出了想和哲雄见一面的请求。
初めて闻いたその声はとても柔らかく、优しそうだった。
初次入耳的声线,柔软而温和。
蓉司の、たった一人の肉亲。
蓉司唯一的亲人。
互いに都合の良い日を话し合って、会う约束をした。
筛选出彼此都空闲的时机后,约期就定了下来。
少し、紧张していた。いや、少しではないかもしれない。普段はあまり紧张などしないから自分でもよくわからない。
稍稍有点紧张。不,其实远不是稍稍那种程度吧。平时无论什么时刻自己都能泰然自若地做事情,而今竟然一反常态起来,自己也搞不懂是为什么。
何故、蓉司の姉と会おうと思ったのか。
为什么会答应去见蓉司的姐姐呢?
それは哲雄自身もよくわからなかった。だが、部屋に帰ってきて蓉司がいなくなったと知った时、思ったのだ。
哲雄自己也说不清楚。但是,回到家后走进房间,意识到蓉司已经消失了的时候,心里就一直有这样一个念头。
蓉司の姉に会わなければならないと。
要和蓉司的姐姐见上一面。
时折、蓉司は姉のことが心残りだと寂しそうに零していた。
偶尔,蓉司会恋恋不舍的在说起姐姐时碎碎念一堆东西。
だから、その忧いを取り除かなければならないと、今になって何故か强く思った。
所以,哲雄下定决心,一定要将蓉司的这种情绪感同身受的去对待、延续、做好。
箪笥の扉の内侧にある镜で髪形を整えている最中、哲雄はふと手を止めて背后を振り返った。
正当哲雄对着衣柜的穿衣镜整理头发的时候,他突然停手,猛地回头。
声が、闻こえた気がした。
似乎听到背后有声响。
蓉司の声が。
是蓉司的声音?
もう、いないのに。
明明早就不在了。
「……」
“……”
わかっているのに、気を抜くとまだそばにいるような错覚を起こす。
虽然清晰的明白,事实确然如此,但精神稍有放松,蓉司依然还活着的错觉就会悄然袭来。
だが、振り返っても何もない。あの暖かな空気に触れることはない。
可是,徒然,回过头去,什么都没有。无法触摸到那种温暖的空气。
思い知るたび、自分自身に苛立った。
每念及此,身心俱疲。
遣り切れない気持ちを误魔化すように、哲雄は短い息を吐き出すとカバンを取って玄関へ向かった。
像是要麻痹掉这种无可言说的情绪,哲雄浅浅的吐了一口气,拿起书包向大门外走去。
蓉司がいなくなったと知った时、涙は出なかった。
即使是在意识到蓉司已经走了的那个时刻,眼泪也不曾流下过。
ただ、蓉司がいないという静かな现実が、ゆっくりと心に染みていった。
只有蓉司已经不在了的这个寂静的现实,一点一滴地啃噬着自己的内心。
外に出ると快晴の空は吸い込まれそうに绮丽な青で、木々の鲜やかな绿が乾いた初夏の阳射しに照らされていた。
户外的晴空美的令人心醉,像是能将人吸入其中一般,湛蓝而清澈。树木那生机盎然的绿色枝叶,安然地沐浴在初夏的干燥阳光中。
待ち合わせの駅に着いて改札を通ると、正面の柱の前に子供を抱いた女性が立っていた。
到达约定的车站通过检票口时,正面的柱子前站着一位抱着孩子的女性。
一目见て、すぐに待ち合わせた相手だとわかった。
一望即知,这位就是自己要见的人。
似ている。
太像了。
雰囲気が、蓉司に。
和蓉司。
不思议な懐かしさと紧张を抱きつつ、哲雄はゆっくりと女性のもとへ歩み寄った。
怀着奇妙的紧张感,哲雄慢慢地踱到这位女子的面前。
子供を抱き直した女性は哲雄を见るなり、やけに惊いた颜をした。
女子换了个姿势抱孩子,及至看到哲雄,脸上立刻流露出惊讶的神情。
その様子に、哲雄も戸惑う。
这种情况,也让哲雄有点不知所措。
姉らしき女性はしばらく哲雄の颜を见つめていたが、やがて我に返ったように慌てて头を下げた。
颇具成熟风韵的女子盯着哲雄的脸看了好一会,才如梦初醒地赶紧低下头去。
「あ、ごめんなさい。はじめまして。あなたが、城沼……哲雄くん?蓉司の姉の、枝里香です」
“啊,抱歉。初次见面,请多指教。你就是城沼……哲雄君吧?我是蓉司的姐姐,枝里香。”
黒髪を肩で切り揃えた女性は、色白で折れそうなほどに华奢だった。
一头及肩黑发的女子,有着白净的肌肤和纤细到盈盈不禁一握的身材。
蓉司の唯一の肉亲であり、蓉司をずっと支えてきた人。
蓉司唯一的亲人,一直支撑着蓉司的亲人。
表情や仕草は柔和だが、どこか儚げな空気が似ている。
举手投足间尽显温柔,散发出梦幻般美好的气质。
蓉司を、思い出す。
这感觉,使人轻易联想起蓉司。
「それと、息子の悠司です」
“这是我儿子,悠司。”
枝里香の腕にしっかりと抱かれている子供、悠司は不安そうな目でおずと哲雄を见上げ、すぐに母の首元に颜を伏せてしまった。
稳稳当当地被枝里香抱在手里、名叫悠司的孩子,之前一直在怯怯地偷看哲雄,此刻,却马上缩了回去,躲到了母亲的怀里。
いつだったか、蓉司に携帯で画像を见せてもらった赤ん坊だろう。
这就是之前,在蓉司的手机图像里看过的婴儿吧。
「大きく、なりましたね」
“长大了呢。”
哲雄がそう口走ると、枝里香が惊いたように目を见开いた。
听哲雄这么一说,枝里香惊讶地睁大了双眼。
「知ってるの?」
“你见过?”
「携帯の、画像で。前に、蓉司に见せてもらって」
“手机照片。之前,蓉司给我看过。
「……そう」
“原来如此。”
枝里香が双眸を优しく细めた。
枝里香温柔地眯起眼,笑了。
「あ、ごめんなさい。立ち话もなんだから、行きましょうか。どこか入りましょう」
“啊,不好意思。我们别尽站着说话了,稍微走走好吗?去哪坐坐都行。”、
ぎこちない空気を引きずりながらも、哲雄は枝里香のあとについて通りの方へ歩き出した。
稍显局促的气氛终于告一段落,哲雄跟在枝里香身后向大街上走去。
辿り着いたのは、駅から5分ほど歩いたところにある小绮丽なカフェだった。
大きな店ではないが、木制のテーブルや椅子など手作りの质感を大切にした温かみのある雰囲気が心地良い。外にはテラス席があり、客はほとんど女性だった。
最终落脚点,是距离车站步行5分钟左右即可到达的精致的咖啡馆。
虽然店面不大,但是店内所陈设之桌椅皆为手工木制,精良的质感予人亲切温暖的感官印象。店外也设有露天座椅,在此落座的大部分都是女性。
今日は天気が良いこともあり、枝里香はテラス席を希望した。通されたテーブルに着き、店员へアイスコーヒーを二つとオレンジジュースを注文する。
程なくして饮み物が运ばれてくると、枝里香は哲雄の方へ颜を向けた。
天气十分晴朗,枝里香表明了想要坐在露天座椅的愿望。随便选了一张桌子坐下后,向店员点了两杯冰咖啡和一杯橙汁。
在等饮料送过来的时间里,枝里香将视线转向了哲雄。
「あの、さっきはごめんなさいね。会うなり、じっと颜を见てしまって」の口元に耻ずかしそうな笑みが浮かぶ。
“那个……刚才那个样子真是很抱歉。初次会面就那样盯着你看。” 女子嘴边泛起了羞涩的微笑。
「実はね、不思议なんだけど。あなたを见た时、何故か……蓉司を思い出したの。なんて言えばいいのかな……。その、あの子が、そばにいるような気がして」
“说真的,觉得有点不可思议呢。见你第一面的时候,不知怎么的,一下就想到了蓉司。该怎么说好呢……总觉得,那孩子还在我们身边似的。“
「……」
相手に気付かれないように、哲雄は静かに息を吐いた。
“……“
哲雄不动声色地轻轻叹了口气。
蓉司が事実上行方不明となってから、枝里香はずっと弟のことを思い、胸を痛めてきたのだろう。
从蓉司下落不明开始,枝里香也应该承受了很多痛楚吧,每当想起这个弟弟的时候。
言叶にせずとも、空気や表情から悲しみが伝わってくる。
就算没有明说,气氛和表情也忠实地传达出了悲痛情绪。
化学室での凄惨な出来事は、一时は事件として大々的に报道された。蓉司の消息も生徒たちには転校だと伝えられたが、実际には违うのだろうということは暗黙の了解だった。
化学教室里发生的惨剧,一时间被当作重大新闻做了铺天盖地的报道。蓉司也好所涉及的学生也罢校方对外一致宣称他们是转学走掉了,而公众显然更乐于在暧昧的缄默中暗自嘀咕着事实是否并非如此。
……もっと早く、こうするべきだったのかもしれない
……或许,早点见面就好了。
哲雄の中で深い后悔と罪悪感が生まれる。
哲雄心里生出了深深的懊悔和罪恶感。
以前、しきりに姉を心配する蓉司に何度か闻いたことがある。
以前,不止一次的听过蓉司担心姐姐的那些碎碎念。
姉に会いに行こうか、と。
だが、そのたびに蓉司は会わなくていいと答えた。
也对蓉司说过,去看看你姐姐吧。
但是,蓉司却回答说还是不去为好。
姉はすでに姉自身の道を歩き出しているのだから、もう会うべきではないのだと。
それに、今は哲雄がいるからいいのだと、そう言っていた。
だが、それでも……。
说既然姐姐的生活已经走上了正轨,见与不见都不要紧了。
何况,现在有哲雄在身边已经足够。蓉司曾经这样讲过。
哲雄は膝の上に置いた手をきつく握り缔めた
蓉司は、ずっと自分と一绪にいる。悲痛なほどに弟を想う姉に、そう言ってしまいたかった。
沈黙しか返せないことが苦しくて、つらかった。
哲雄攥紧了平置于膝盖上的双拳。
蓉司一直和自己在一起。
而面对满怀悲伤思念着弟弟的姐姐,又无法将此真相坦然告之。
只能沉默面对却无法再做点什么的无力感,好痛苦。
「こんなこと言ったら、おかしいって思うかもしれないけど……。少し前にね、蓉司が、会いに来てくれたような気がしたの。姿は见えなかったけど、耳元でね。俺は、幸せだよって……。そう、闻こえたの。気のせいだったのかなってずっと思ってたけど、でも……、不思议。今日、哲雄くんに会ったら、あれは本当だったんだって、そう思った」
そう言って、枝里香は寂しそうに微笑んだ。
“虽然我接下来的话可能在你听来有点荒谬……但是呢,不久之前,我觉得蓉司是来找过我的。虽然看不见他的样子,却听到他亲口说着‘我很幸福’……。真的,我听到了。一直觉得或许只是自己在胡思乱想吧,但是……好奇怪,今天和哲雄君见到面后,不禁就觉得,兴许蓉司是真的来过呢。”
说着,枝里香泛出落寞的笑容。
もしかしたら、それは。
蓉司が行ってしまった日のことではないだろうか。
だとしたら、蓉司は姉に自分の口から伝えたかったのだろう。
悲しまないで欲しいと。
普通の人に闻こえないであろうその声は、确かに姉に届いた。
今さらながら、想いの强さというものを実感する。今、自分がこうしてここにいること。ほんの少しの间でも、蓉司とともに过ごせたこと。
その全てが、想いが引き起こした奇迹だ。
胸の中、小さな火が灯るように热くなるのを感じて、哲雄は何かに突き动かされるように口を开いていた。
该不会是在蓉司消失的同一天发生了这种事?果真如此的话,那么,蓉司是想亲自将心情传达到姐姐那里吧。请不要为我悲伤。普通人无法听见的声音,确实一字一句地传进了姐姐的耳朵里。
事到如今,也亲身感受到了强烈的思念之情带来的影响。如今,自己就是为此而活。还有那些与蓉司共同度过的,短暂时光。全部这些,都是执念所带来的奇迹。胸口,如擦亮微弱火光般地升起了一股热量,哲雄被突然涌上的冲动驱使着,开了口。
「蓉司は、あなたのこと、いつも気に挂けてました。あなたのことを话す时は、すごく穏やかな颜になった。本当に大切なんだって、伝わってきた」
“蓉司一直都很惦记着您。每次说起您的时候,脸上的表情都很沉稳安心。我能感觉到,您一定是她最重要的人。”
真実は无理だとしても、ほんの少しでもいいから何か伝えたかった。そうしなければいけないのだと思った。
虽然无法对她坦白真相,至少,想就此再说点什么,哪怕只有一点点。觉得自己有义务这样做。
「……そう」
“……是吗”
枝里香は吐息混じりの声で答えて目を伏せ、优しい笑みを浮かべて哲雄を见た。
双目微垂,自口中逸出叹息般回应的枝里香,复又带着温和的笑颜看着哲雄。
「なんだかね。今日のこと、ようくんがあなたに合わせてくれたんじゃないかって思うの。いつまでも立ち止まって、悲しんでいてはダメだ、って。……変わらないものなんて、ないんだから」
“总觉得,之所以今天能和你在这里见面,是小蓉在冥冥之中指引着我呢。对我说着‘总是停滞不前可不行,不能怀抱悲伤过一辈子啊’……什么的。……没有什么是永恒不变的吧。”
―永远に続くものって、あると思うか。
いつかの蓉司の言叶が头の中で响いた。
あの时、自分はなんと答えただろう。
思い出すのは、屋上から见た赤く染み入るような夕焼けの光景ばかりだ。
——你说,会有永恒存在的东西吗?
蓉司那时的问话总会回响在脑海中。
那时候,自己是怎么回答来着?
能忆起的,唯有那屋顶上,好似能将整个世界浸染成一片赤红的落日余晖。
「哲雄くん。良かったら、これからも会えるかな。学校での蓉司のことか、この子とも游んでほしいし」
“哲雄君。可以的话,以后也请经常碰面吧。我想听听蓉司在学校里的旧事,也希望你能和这孩子好好的相处下去。”
隣に座ってジュースを饮んでいる悠司の头を、枝里香がそっと抚でる。
枝里香轻轻抚摩着坐在一旁啜着果汁的悠司的头。
悠司は怯えと兴味の入り混じった眼差しで、不安そうに哲雄を见上げてくる。
悠带着稍许胆怯而又好奇满载的眼神,不安地抬头看向哲雄。
その表情がやけに懐かしく感じられて、哲雄は微かに唇を笑ませると颔いた。
令人眷恋的表情。哲雄轻轻地在唇上绽出笑容,颌首。
「はい」。强く、そう答えた。
然后坚定地回答道,“好。”
枝里香と别れてから、哲雄は电车に乗ってある场所へ向かった。
告别枝里香后,哲雄坐着电车向那个地方赶去。
かつてはそこへ通うことが当たり前がった、今となっては近くて远い场所。
以前每天都要去的、稀松平常的地方,如今看来,虽近在咫尺,却遥不可及。
驹波学园の校门前に辿り着いた哲雄は、足を止めてあの顷と変わらぬ夕焼けに染まる校舎を仰ぎ见た。
拼尽全力赶到、却徘徊在驹波学园门前的哲雄,停下了脚步,抬头望着和那时一模一样的、笼罩在夕阳中的校舍。
时间的にほとんどの生徒たちは下校したようで、校舎付近は闲散としていた。
似乎刚好赶上放学回家的时间,校舍附近,悠闲的学生们三三两两地聚集着。
校门へ歩み寄ると、脇にある守卫室が见えた。中には初老の守卫が座っている。哲雄が通っていた时と変わっていない。
哲雄走近校门,侧边的警卫室里,已年过半百的老警卫坐在里面。和以前上学的时候一样,什么没有变。
不审者だとでも思われたのか、守卫は怪讶な颜で立ち上がると守卫室から出てきた。
像是把哲雄看成了可疑人物,老警卫带着疑惑的表情起身走出警卫室。
だが、不审者の正体が哲雄だと気付くと、守卫は表情を一変させた。
不过,在看清楚可疑人物原来是哲雄时,老警卫的表情立刻变了。
在校时、登校するなり升降口で喧哗沙汰を起こしたことがあった。その时、真っ先に间に入って哲雄を止めたのがこの守卫だ。
还在学校的时候,曾在校门口打架引发骚动。那时候第一时间冲出来阻止哲雄的,正是他。
以来、守卫は哲雄を见かけると声を挂けてくるようになった。
那之后,老警卫每次看见哲雄都会冲他打声招呼。
「あぁ、君は确か、この学校の……久しぶりだなぁ。なんだか、颜つきが随分大人っぽくなって。今日はどうしたんだい?」
「……近くまで、来たので」
「そうかそうか」
守衛が懐かしそうな目で哲雄を見つめながら笑う。
“啊,你确实是这个学校的……好久不见呐。看起来成熟不少嘛,变成大人了。今天怎么过来了?
“刚好在这附近,就过来了。”
“这样啊。
老警卫带着十分怀念的目光微笑着看着哲雄。
「……あの。少し、中へ入ってもかまいませんか」
「ん?何か用でもあるのかい?」
「……先生に、挨拶がしたくて。すぐ済みます」
「そうかぁ。うーん」
“……请问,能不能进去呆一会?”
“诶?有什么事吗?”
“……想去看望一下老师打个招呼。很快就出来。”
“这样啊。唔……”
卒业生とはいえ、さすがに外部の人间を学园へ入れることに抵抗を覚えたのだろう。守卫は难しい颜で首を捻っていたが、やがて振り切ったように颔いた。
按理说,就算是本校的毕业生,但已属社会人的自己还是不能被随便放进学校了的吧。老警卫为难地搔着头,最终还是爽快地点了下头。
「まあ、いいだろう。来校者记录帐に记入して。あと、许可证もつけてね」
「ありがとうございます」
“算了算了,反正也要在来校登记本上登记的。之后,拿着许可证进去就行了。”
“谢谢您。”
言われた通り、守卫室で来校者记录帐に名前と住所、目的を记入して许可证を首から提げ、哲雄は升降口へ向かった。
照老警卫所说的,哲雄在来校登记本上写清了自己的姓名、住所以及来校目的,将许可证挂在脖子上后,就向楼梯口走去。
守卫には申し訳なかったが、先生に挨拶をしたいという话は嘘だった。
实在很对不起老警卫,其实要去看望老师的说法纯属子虚乌有。
擦れ违う生徒たちからの惊きと奇异の眼差しを浴びながら、足早に中庭へ出て旧校舎へ向かう。
在擦身而过的学生们投过来的惊奇眼光中,哲雄快步穿过中庭,走向旧校舍。
部活动の时间のためか、教室が部室として使用されている旧校舎は静まり返っていた。
可能是因为错过了社团活动时间吧,只有在社团活动时间才会将教室暂作活动室使用的旧校舍,现在,万籁俱寂。
今は使われていない升降口を抜けて阶段を上る。在学していた时は気にならなかったが、今见る旧校舎は痛みがひどい。
穿过已无人进入的楼梯口,踏上楼梯的台阶。上学的时候根本没有特别在意过,而如今,眼中这旧校舍已成为痛感鲜明的存在。
それに、体格も身長も当時とあまり変わっていないはずなのに、建物自体が一回り小さく感じられた。
而且,和那时比起来自己现在的身材和身高应该变化不大才对,可这栋建筑物却像整整缩小了一圈似的。
階段を上っている間、哲雄の頭の中を様々な記憶が走馬灯のように駆け抜けていった。
拾级而上的时候,形形色色的记忆残片像走马灯一样在哲雄的脑中回放着。
思い出と呼ぶにはあまりにも生々しく異様な出来事の数々。夢だったのではないかと思うほどだ。
将之称为回忆的话,如许多的奇异事件又偏偏生动异常。甚至会令人生出一切皆为梦境的错觉。
この階段も、二人で上った。あの時は必死だった。先のことなんて何も考えてなくて、とにかく……一緒に帰ろうと、ただそれだけを考えていた。
这台阶也是一样,那个时刻,两人一起走过。怀抱最后的觉悟。之后怎样完全没去想过,总之……要两个人一起走。脑子里只有这个念头。
そして、今も。強い衝動に急き立てられて、哲雄は最上階まで階段を上った。
现在亦然。被强烈的冲动驱使着,哲雄冲到了台阶的最上层。
目の前に現れた扉のノブを捻り、勢い良く開ける。途端、すべてを飲み込むような赤い光に包み込まれた。眩しくて顔をしかめる。
轻轻转动置于眼前的门把手,门轻易地被打开了。几乎同时,赤红的天光就像淹没一切般的包裹住全身上下。炫目的颜色使人不禁蹙眉。
そう、あの時も。
こんな風に夕焼けが満ちていた。
对,和那时的夕阳一样。
一样的彩霞满天。
目を細めたまま、ゆっくりと屋上のコンクリートへ足を踏み出す。
フェンスまで辿り着くと、哲雄は赤く染まった空気を取り込むように深呼吸をした。
眯了眯眼,哲雄慢慢地踏着屋顶的水泥地面走过去。
终于走到围栏旁,哲雄像是要融进这赤红一片的空气般,深深地吸了一口气。
それから、静かに目を閉じる。
この場所で、二人で夕空を眺めた。
――なんか……今もしこの世界に2人しかいないって言われたら、そうかもしれないって思いそうだ。全てから取り残されるって、きっとこんな気分なんだろう。
然后,静静地闭上双眼。
在这个地方,二人曾经一同眺望夕阳。
——我觉得,就算被告知世界上只剩下我们两人,说不定我也会就此接受。所谓的被世界所遗弃,应该就是这种心情吧。
そう、蓉司は言っていた。
哲雄も、あの時は同じことを思った。
自分たちはこんなにも追い詰められているのに、見渡す景色は穏やかでいつもと何も変わらない。無情としか言いようのない現実。それでも……二人一緒なら、どうなっても構わないと思った。
对,这是蓉司曾经说过的话。
那个时候的哲雄也是一样,有着相同的想法。
明明那时候两人被穷追猛打的甚是狼狈,放眼望去的景色却安然恬静,未曾改变。无可言说的冰冷现实。即使如此,只要两人能在一起,还是觉得怎样都无所谓,
だから。
――ずっと、俺といろよ。
`そう告げた。
それ以外、何もなかった。
所以。
——要永远和我在一起啊。
就这样告白了。
除此之外,别无所求。
閉ざしていた目を開けると、哲雄はフェンスの向こうへ視線を投げながら歩き出した。
視界にプールが映ったところで足を止め、再び目を閉じる。
睁开一直紧闭的双眼,哲雄向围栏外投出视线,随之,脚步跟上去了。
走到泳池出现在眼前的地方,哲雄停下脚步,再次闭上双眼。
銃弾が。
蓉司の胸を貫いた。助けようとしたが、間に合わなかった。
よろめくその体をとっさに抱き締めて、動いていた。
とにかく、助けたかった。
ただその一心で、気付いたら……真っ逆さまに落ちていた。
耳に響く、自分の名を叫ぶ声。
衝撃も、水音も、何も感じなかった。
縋るように密着する体温だけが確かにあった。
叶わないと知っていても――できれば、ずっと。
一緒に、いたかった。
是子弹。
子弹贯穿了蓉司的胸部。虽然极力想保护蓉司,却还是来不及。
瞬间抱住那个身体,拖着蹒跚的步子行动的自己。
总之,要想办法救他。
脑中只有这一个念头,回过神来……已经头朝下坠落了下去。
耳边响起的,是呼唤着自己名字的声音。
冲击也好,水声也好,什么都感觉不到了。
能知道的唯有紧贴自己的那个体温。
即使知道不过是奢求——如果可能,还是希望永远。
可以永远在一起。
「……」
ふいに、暖かなものが頬に触れた。
それは蓉司がそばにいる時の空気によく似ていて、哲雄は周囲を探すように視線を向けた。
だが、求める気配はどこにもない。
確かめるように自分の頬に触れて、気付いた。
涙が流れていた。
暖かな涙が。
ふっと、思った。
蓉司と二人だけで過ごした日々。
自分は、幸せだったと。
“……”
突然,脸颊上传来温暖的触感。
和蓉司还在自己身边时的感觉几乎一样,哲雄将视线转向四周,竭力寻找着。
但是,一心所求的,终究遍寻不着。
想要确认什么似的抬手抚摸脸颊,才注意到。
自己已经泪流满面。
那是温暖的眼泪。
突然,忆起了,
和蓉司两个人一起渡过的那些日日夜夜。
自己真的,已经非常幸福。
「……、……蓉司」
呼びかけるように、そっとその名を口にした。
いないはずなのに、優しく背中を押された気がした。
枝里香が言っていたことと同じだ。
いつまでも立ち止まって、悲しんでいてはダメなのだと。
前へ、進まなければならないのだと。
“……,……蓉司”
像是呼唤对方一样,轻轻地叫出那个名字。
明明,蓉司已经不在了,为什么仍然能感觉到他在身后,温柔地环住自己。
总是停滞不前可不行,不能怀抱悲伤过一辈子啊。
一定要向前看。
――永遠に続くものって、あると思うか。
あの時、問われた言葉。
もし蓉司が今ここにいて、同じことを問いかけたら。
蓉司はきっと、こう答えただろう。
永遠などない、と。
何一つとして変わらないものはない。歩き出さなければならない。
そのために、今の自分がある。
彼へ向けて、吐息だけで小さく呟く。
你说,会有永恒存在的东西吗?
那时,问出的话。
如果现在蓉司还活着,还问同样的问题的话。
蓉司也一定会做出同样的回答。
永远这种事,不存在。
不存在一成不变的事物。必须要迈出那一步。
正是为此,自己才活到现在。
像在对着蓉司说话一样,哲雄叹息般的低语着。
――答えるように。
カルキの匂いを乗せた風が、哲雄の頬を撫でていった。
也像是有所回应般。||
泳池的味道乘着清风,温柔地抚上哲雄的脸庞。
END
晚霞
原作:渊井镝
いつもと変わらぬ电车の振动が体に响いてくる。午后2时を少し过ぎた顷、やや混雑した车内で吊り革に掴まっていた哲雄は、ふいにあることを思い出した。
电车驰行的频率依然故我,身体也随之倾摆晃动。午后两点刚过,稍显拥挤的车内,手握吊环的哲雄,不意间陷入了沉思。
まだ、自分が学生だった顷。
那时,清晨的电车中。自己还是学生的时候。
鼻先を掠めた甘い匂いに视线を向ける。たくさんの乗客に埋もれるように……蓉司がいた。
鼻尖有甘美的气息掠过,视线便循了这轨迹而去。在摩肩接踵的人堆里挣扎着的是……蓉司。
偶然同じ车両に乗ってきた蓉司は、青白い颜をして见るからに具合が悪そうだった。
偶然乘坐同一辆电车回家的蓉司面泛苍白,一看既知,身体状况恐怕不太妙。
できるだけ周囲の迷惑にならないように気を配りながら、哲雄は少しずつ蓉司のそばへ近付いた。今にも倒れてしまいそうだったからだ。
尽量注意着不要惊扰到身边的乘客挤过去,哲雄一点一点的蹭到了蓉司身边。看上去,后者似乎随时都有倒下的可能。
电车が大きく倾いた时、立っているのもつらそうな蓉司の体が揺れた。
电车大幅度倾斜的时候,硬撑着身体不适、一直勉强自己的蓉司终于开始脱力下滑。
とっさに、腕を伸ばしていた。凭れ挂ってくる重みを受け止める。
瞬间,胳膊就这么伸了出去。哲雄接住了依靠过来的全部重量。
蓉司は颜を上げる気力もないのか、ぐったりと哲雄の胸に体を预けてきた。そのままじっとして动かない。
蓉司连抬头看人的力气都没了,软绵绵地倚在哲雄的胸前。而后便巍然不动。
弱々しい呼吸。止まってしまうのではないかと心配になるほどに。
呼吸很微弱。该不会就这样停止呼吸了吧……越发担心起来。
吊り革に掴まりながら视线を落とすと、病的なほどに青白いうなじが目に焼きついた。
一手抓住吊环,哲雄俯视着怀里的蓉司。首先映入眼帘的是病态般的苍白脖颈。
汗に濡れた黒い髪が几筋か张りつくそのさまは、妙に艶かしい。
几绺汗湿的黑色发丝粘在上面,散发出难以言喻的艳丽之感。
そして、肌にうっすらと渗む、赤。
而后,肌肤下隐约渗透出的红色。
おそらく、血だろう。何故そんなところから渗んでいたのか、その理由を考えるよりも先に目を夺われた。
那是血吧。在思考着“为什么血会从皮肤里面渗出”之前,此情此景已经先一步摄人心魂。
その色があまりにも鲜やかで……触ってみたいと、そう思った。
那颜色如此鲜艳……鲜艳到想要去触碰。
うなじに、血に、触れてみたい。
脖颈,血,都想去触碰
それから目的の駅につくまで、腕の中の重みと温度がやけに大切なもののように感じられた。
随着目的地的进一步临近,哲雄越发感觉到双臂中这股重量和体温已经成为了自己的宝物。
大切な―
最重要的宝物——
あれから、2年后。
两年后的某天。
その日の仕事が休みで、哲雄はある约束のために身仕度を整えていた。
那天不用上班,哲雄正在为即将前往的约见做准备。
待ち合わせの时间は午后3时。相手の住まいの最寄り駅に自分から出向くことにした。小さな子供がいるためだ。
见面的时间定为下午三点。地点定在离对方的住处最近的车站,因为对方是带着小孩子的。
今日はこれから、蓉司の姉と会う。
今天接下来的时间将全部属于蓉司的姐姐。
姉については蓉司から闻いていたものの、名前や住まいなどは何も知らなかった。だから少し时间が挂かったが、なんとか探し出した。
虽然之前常从蓉司的口中听到有关姐姐的事情,但对方到底姓甚名谁,家住何方却全然不知。所以,稍微花了点时间,好在最终总算是打听清楚了。
电话で蓉司の同级生だったことを告げると、姉は自ら哲雄に会いたいと申し出てくれた。在电话中告知了自己是蓉司的同班同学后,电话那头的本人提出了想和哲雄见一面的请求。
初めて闻いたその声はとても柔らかく、优しそうだった。
初次入耳的声线,柔软而温和。
蓉司の、たった一人の肉亲。
蓉司唯一的亲人。
互いに都合の良い日を话し合って、会う约束をした。
筛选出彼此都空闲的时机后,约期就定了下来。
少し、紧张していた。いや、少しではないかもしれない。普段はあまり紧张などしないから自分でもよくわからない。
稍稍有点紧张。不,其实远不是稍稍那种程度吧。平时无论什么时刻自己都能泰然自若地做事情,而今竟然一反常态起来,自己也搞不懂是为什么。
何故、蓉司の姉と会おうと思ったのか。
为什么会答应去见蓉司的姐姐呢?
それは哲雄自身もよくわからなかった。だが、部屋に帰ってきて蓉司がいなくなったと知った时、思ったのだ。
哲雄自己也说不清楚。但是,回到家后走进房间,意识到蓉司已经消失了的时候,心里就一直有这样一个念头。
蓉司の姉に会わなければならないと。
要和蓉司的姐姐见上一面。
时折、蓉司は姉のことが心残りだと寂しそうに零していた。
偶尔,蓉司会恋恋不舍的在说起姐姐时碎碎念一堆东西。
だから、その忧いを取り除かなければならないと、今になって何故か强く思った。
所以,哲雄下定决心,一定要将蓉司的这种情绪感同身受的去对待、延续、做好。
箪笥の扉の内侧にある镜で髪形を整えている最中、哲雄はふと手を止めて背后を振り返った。
正当哲雄对着衣柜的穿衣镜整理头发的时候,他突然停手,猛地回头。
声が、闻こえた気がした。
似乎听到背后有声响。
蓉司の声が。
是蓉司的声音?
もう、いないのに。
明明早就不在了。
「……」
“……”
わかっているのに、気を抜くとまだそばにいるような错覚を起こす。
虽然清晰的明白,事实确然如此,但精神稍有放松,蓉司依然还活着的错觉就会悄然袭来。
だが、振り返っても何もない。あの暖かな空気に触れることはない。
可是,徒然,回过头去,什么都没有。无法触摸到那种温暖的空气。
思い知るたび、自分自身に苛立った。
每念及此,身心俱疲。
遣り切れない気持ちを误魔化すように、哲雄は短い息を吐き出すとカバンを取って玄関へ向かった。
像是要麻痹掉这种无可言说的情绪,哲雄浅浅的吐了一口气,拿起书包向大门外走去。
蓉司がいなくなったと知った时、涙は出なかった。
即使是在意识到蓉司已经走了的那个时刻,眼泪也不曾流下过。
ただ、蓉司がいないという静かな现実が、ゆっくりと心に染みていった。
只有蓉司已经不在了的这个寂静的现实,一点一滴地啃噬着自己的内心。
外に出ると快晴の空は吸い込まれそうに绮丽な青で、木々の鲜やかな绿が乾いた初夏の阳射しに照らされていた。
户外的晴空美的令人心醉,像是能将人吸入其中一般,湛蓝而清澈。树木那生机盎然的绿色枝叶,安然地沐浴在初夏的干燥阳光中。
待ち合わせの駅に着いて改札を通ると、正面の柱の前に子供を抱いた女性が立っていた。
到达约定的车站通过检票口时,正面的柱子前站着一位抱着孩子的女性。
一目见て、すぐに待ち合わせた相手だとわかった。
一望即知,这位就是自己要见的人。
似ている。
太像了。
雰囲気が、蓉司に。
和蓉司。
不思议な懐かしさと紧张を抱きつつ、哲雄はゆっくりと女性のもとへ歩み寄った。
怀着奇妙的紧张感,哲雄慢慢地踱到这位女子的面前。
子供を抱き直した女性は哲雄を见るなり、やけに惊いた颜をした。
女子换了个姿势抱孩子,及至看到哲雄,脸上立刻流露出惊讶的神情。
その様子に、哲雄も戸惑う。
这种情况,也让哲雄有点不知所措。
姉らしき女性はしばらく哲雄の颜を见つめていたが、やがて我に返ったように慌てて头を下げた。
颇具成熟风韵的女子盯着哲雄的脸看了好一会,才如梦初醒地赶紧低下头去。
「あ、ごめんなさい。はじめまして。あなたが、城沼……哲雄くん?蓉司の姉の、枝里香です」
“啊,抱歉。初次见面,请多指教。你就是城沼……哲雄君吧?我是蓉司的姐姐,枝里香。”
黒髪を肩で切り揃えた女性は、色白で折れそうなほどに华奢だった。
一头及肩黑发的女子,有着白净的肌肤和纤细到盈盈不禁一握的身材。
蓉司の唯一の肉亲であり、蓉司をずっと支えてきた人。
蓉司唯一的亲人,一直支撑着蓉司的亲人。
表情や仕草は柔和だが、どこか儚げな空気が似ている。
举手投足间尽显温柔,散发出梦幻般美好的气质。
蓉司を、思い出す。
这感觉,使人轻易联想起蓉司。
「それと、息子の悠司です」
“这是我儿子,悠司。”
枝里香の腕にしっかりと抱かれている子供、悠司は不安そうな目でおずと哲雄を见上げ、すぐに母の首元に颜を伏せてしまった。
稳稳当当地被枝里香抱在手里、名叫悠司的孩子,之前一直在怯怯地偷看哲雄,此刻,却马上缩了回去,躲到了母亲的怀里。
いつだったか、蓉司に携帯で画像を见せてもらった赤ん坊だろう。
这就是之前,在蓉司的手机图像里看过的婴儿吧。
「大きく、なりましたね」
“长大了呢。”
哲雄がそう口走ると、枝里香が惊いたように目を见开いた。
听哲雄这么一说,枝里香惊讶地睁大了双眼。
「知ってるの?」
“你见过?”
「携帯の、画像で。前に、蓉司に见せてもらって」
“手机照片。之前,蓉司给我看过。
「……そう」
“原来如此。”
枝里香が双眸を优しく细めた。
枝里香温柔地眯起眼,笑了。
「あ、ごめんなさい。立ち话もなんだから、行きましょうか。どこか入りましょう」
“啊,不好意思。我们别尽站着说话了,稍微走走好吗?去哪坐坐都行。”、
ぎこちない空気を引きずりながらも、哲雄は枝里香のあとについて通りの方へ歩き出した。
稍显局促的气氛终于告一段落,哲雄跟在枝里香身后向大街上走去。
辿り着いたのは、駅から5分ほど歩いたところにある小绮丽なカフェだった。
大きな店ではないが、木制のテーブルや椅子など手作りの质感を大切にした温かみのある雰囲気が心地良い。外にはテラス席があり、客はほとんど女性だった。
最终落脚点,是距离车站步行5分钟左右即可到达的精致的咖啡馆。
虽然店面不大,但是店内所陈设之桌椅皆为手工木制,精良的质感予人亲切温暖的感官印象。店外也设有露天座椅,在此落座的大部分都是女性。
今日は天気が良いこともあり、枝里香はテラス席を希望した。通されたテーブルに着き、店员へアイスコーヒーを二つとオレンジジュースを注文する。
程なくして饮み物が运ばれてくると、枝里香は哲雄の方へ颜を向けた。
天气十分晴朗,枝里香表明了想要坐在露天座椅的愿望。随便选了一张桌子坐下后,向店员点了两杯冰咖啡和一杯橙汁。
在等饮料送过来的时间里,枝里香将视线转向了哲雄。
「あの、さっきはごめんなさいね。会うなり、じっと颜を见てしまって」の口元に耻ずかしそうな笑みが浮かぶ。
“那个……刚才那个样子真是很抱歉。初次会面就那样盯着你看。” 女子嘴边泛起了羞涩的微笑。
「実はね、不思议なんだけど。あなたを见た时、何故か……蓉司を思い出したの。なんて言えばいいのかな……。その、あの子が、そばにいるような気がして」
“说真的,觉得有点不可思议呢。见你第一面的时候,不知怎么的,一下就想到了蓉司。该怎么说好呢……总觉得,那孩子还在我们身边似的。“
「……」
相手に気付かれないように、哲雄は静かに息を吐いた。
“……“
哲雄不动声色地轻轻叹了口气。
蓉司が事実上行方不明となってから、枝里香はずっと弟のことを思い、胸を痛めてきたのだろう。
从蓉司下落不明开始,枝里香也应该承受了很多痛楚吧,每当想起这个弟弟的时候。
言叶にせずとも、空気や表情から悲しみが伝わってくる。
就算没有明说,气氛和表情也忠实地传达出了悲痛情绪。
化学室での凄惨な出来事は、一时は事件として大々的に报道された。蓉司の消息も生徒たちには転校だと伝えられたが、実际には违うのだろうということは暗黙の了解だった。
化学教室里发生的惨剧,一时间被当作重大新闻做了铺天盖地的报道。蓉司也好所涉及的学生也罢校方对外一致宣称他们是转学走掉了,而公众显然更乐于在暧昧的缄默中暗自嘀咕着事实是否并非如此。
……もっと早く、こうするべきだったのかもしれない
……或许,早点见面就好了。
哲雄の中で深い后悔と罪悪感が生まれる。
哲雄心里生出了深深的懊悔和罪恶感。
以前、しきりに姉を心配する蓉司に何度か闻いたことがある。
以前,不止一次的听过蓉司担心姐姐的那些碎碎念。
姉に会いに行こうか、と。
だが、そのたびに蓉司は会わなくていいと答えた。
也对蓉司说过,去看看你姐姐吧。
但是,蓉司却回答说还是不去为好。
姉はすでに姉自身の道を歩き出しているのだから、もう会うべきではないのだと。
それに、今は哲雄がいるからいいのだと、そう言っていた。
だが、それでも……。
说既然姐姐的生活已经走上了正轨,见与不见都不要紧了。
何况,现在有哲雄在身边已经足够。蓉司曾经这样讲过。
哲雄は膝の上に置いた手をきつく握り缔めた
蓉司は、ずっと自分と一绪にいる。悲痛なほどに弟を想う姉に、そう言ってしまいたかった。
沈黙しか返せないことが苦しくて、つらかった。
哲雄攥紧了平置于膝盖上的双拳。
蓉司一直和自己在一起。
而面对满怀悲伤思念着弟弟的姐姐,又无法将此真相坦然告之。
只能沉默面对却无法再做点什么的无力感,好痛苦。
「こんなこと言ったら、おかしいって思うかもしれないけど……。少し前にね、蓉司が、会いに来てくれたような気がしたの。姿は见えなかったけど、耳元でね。俺は、幸せだよって……。そう、闻こえたの。気のせいだったのかなってずっと思ってたけど、でも……、不思议。今日、哲雄くんに会ったら、あれは本当だったんだって、そう思った」
そう言って、枝里香は寂しそうに微笑んだ。
“虽然我接下来的话可能在你听来有点荒谬……但是呢,不久之前,我觉得蓉司是来找过我的。虽然看不见他的样子,却听到他亲口说着‘我很幸福’……。真的,我听到了。一直觉得或许只是自己在胡思乱想吧,但是……好奇怪,今天和哲雄君见到面后,不禁就觉得,兴许蓉司是真的来过呢。”
说着,枝里香泛出落寞的笑容。
もしかしたら、それは。
蓉司が行ってしまった日のことではないだろうか。
だとしたら、蓉司は姉に自分の口から伝えたかったのだろう。
悲しまないで欲しいと。
普通の人に闻こえないであろうその声は、确かに姉に届いた。
今さらながら、想いの强さというものを実感する。今、自分がこうしてここにいること。ほんの少しの间でも、蓉司とともに过ごせたこと。
その全てが、想いが引き起こした奇迹だ。
胸の中、小さな火が灯るように热くなるのを感じて、哲雄は何かに突き动かされるように口を开いていた。
该不会是在蓉司消失的同一天发生了这种事?果真如此的话,那么,蓉司是想亲自将心情传达到姐姐那里吧。请不要为我悲伤。普通人无法听见的声音,确实一字一句地传进了姐姐的耳朵里。
事到如今,也亲身感受到了强烈的思念之情带来的影响。如今,自己就是为此而活。还有那些与蓉司共同度过的,短暂时光。全部这些,都是执念所带来的奇迹。胸口,如擦亮微弱火光般地升起了一股热量,哲雄被突然涌上的冲动驱使着,开了口。
「蓉司は、あなたのこと、いつも気に挂けてました。あなたのことを话す时は、すごく穏やかな颜になった。本当に大切なんだって、伝わってきた」
“蓉司一直都很惦记着您。每次说起您的时候,脸上的表情都很沉稳安心。我能感觉到,您一定是她最重要的人。”
真実は无理だとしても、ほんの少しでもいいから何か伝えたかった。そうしなければいけないのだと思った。
虽然无法对她坦白真相,至少,想就此再说点什么,哪怕只有一点点。觉得自己有义务这样做。
「……そう」
“……是吗”
枝里香は吐息混じりの声で答えて目を伏せ、优しい笑みを浮かべて哲雄を见た。
双目微垂,自口中逸出叹息般回应的枝里香,复又带着温和的笑颜看着哲雄。
「なんだかね。今日のこと、ようくんがあなたに合わせてくれたんじゃないかって思うの。いつまでも立ち止まって、悲しんでいてはダメだ、って。……変わらないものなんて、ないんだから」
“总觉得,之所以今天能和你在这里见面,是小蓉在冥冥之中指引着我呢。对我说着‘总是停滞不前可不行,不能怀抱悲伤过一辈子啊’……什么的。……没有什么是永恒不变的吧。”
―永远に続くものって、あると思うか。
いつかの蓉司の言叶が头の中で响いた。
あの时、自分はなんと答えただろう。
思い出すのは、屋上から见た赤く染み入るような夕焼けの光景ばかりだ。
——你说,会有永恒存在的东西吗?
蓉司那时的问话总会回响在脑海中。
那时候,自己是怎么回答来着?
能忆起的,唯有那屋顶上,好似能将整个世界浸染成一片赤红的落日余晖。
「哲雄くん。良かったら、これからも会えるかな。学校での蓉司のことか、この子とも游んでほしいし」
“哲雄君。可以的话,以后也请经常碰面吧。我想听听蓉司在学校里的旧事,也希望你能和这孩子好好的相处下去。”
隣に座ってジュースを饮んでいる悠司の头を、枝里香がそっと抚でる。
枝里香轻轻抚摩着坐在一旁啜着果汁的悠司的头。
悠司は怯えと兴味の入り混じった眼差しで、不安そうに哲雄を见上げてくる。
悠带着稍许胆怯而又好奇满载的眼神,不安地抬头看向哲雄。
その表情がやけに懐かしく感じられて、哲雄は微かに唇を笑ませると颔いた。
令人眷恋的表情。哲雄轻轻地在唇上绽出笑容,颌首。
「はい」。强く、そう答えた。
然后坚定地回答道,“好。”
枝里香と别れてから、哲雄は电车に乗ってある场所へ向かった。
告别枝里香后,哲雄坐着电车向那个地方赶去。
かつてはそこへ通うことが当たり前がった、今となっては近くて远い场所。
以前每天都要去的、稀松平常的地方,如今看来,虽近在咫尺,却遥不可及。
驹波学园の校门前に辿り着いた哲雄は、足を止めてあの顷と変わらぬ夕焼けに染まる校舎を仰ぎ见た。
拼尽全力赶到、却徘徊在驹波学园门前的哲雄,停下了脚步,抬头望着和那时一模一样的、笼罩在夕阳中的校舍。
时间的にほとんどの生徒たちは下校したようで、校舎付近は闲散としていた。
似乎刚好赶上放学回家的时间,校舍附近,悠闲的学生们三三两两地聚集着。
校门へ歩み寄ると、脇にある守卫室が见えた。中には初老の守卫が座っている。哲雄が通っていた时と変わっていない。
哲雄走近校门,侧边的警卫室里,已年过半百的老警卫坐在里面。和以前上学的时候一样,什么没有变。
不审者だとでも思われたのか、守卫は怪讶な颜で立ち上がると守卫室から出てきた。
像是把哲雄看成了可疑人物,老警卫带着疑惑的表情起身走出警卫室。
だが、不审者の正体が哲雄だと気付くと、守卫は表情を一変させた。
不过,在看清楚可疑人物原来是哲雄时,老警卫的表情立刻变了。
在校时、登校するなり升降口で喧哗沙汰を起こしたことがあった。その时、真っ先に间に入って哲雄を止めたのがこの守卫だ。
还在学校的时候,曾在校门口打架引发骚动。那时候第一时间冲出来阻止哲雄的,正是他。
以来、守卫は哲雄を见かけると声を挂けてくるようになった。
那之后,老警卫每次看见哲雄都会冲他打声招呼。
「あぁ、君は确か、この学校の……久しぶりだなぁ。なんだか、颜つきが随分大人っぽくなって。今日はどうしたんだい?」
「……近くまで、来たので」
「そうかそうか」
守衛が懐かしそうな目で哲雄を見つめながら笑う。
“啊,你确实是这个学校的……好久不见呐。看起来成熟不少嘛,变成大人了。今天怎么过来了?
“刚好在这附近,就过来了。”
“这样啊。
老警卫带着十分怀念的目光微笑着看着哲雄。
「……あの。少し、中へ入ってもかまいませんか」
「ん?何か用でもあるのかい?」
「……先生に、挨拶がしたくて。すぐ済みます」
「そうかぁ。うーん」
“……请问,能不能进去呆一会?”
“诶?有什么事吗?”
“……想去看望一下老师打个招呼。很快就出来。”
“这样啊。唔……”
卒业生とはいえ、さすがに外部の人间を学园へ入れることに抵抗を覚えたのだろう。守卫は难しい颜で首を捻っていたが、やがて振り切ったように颔いた。
按理说,就算是本校的毕业生,但已属社会人的自己还是不能被随便放进学校了的吧。老警卫为难地搔着头,最终还是爽快地点了下头。
「まあ、いいだろう。来校者记录帐に记入して。あと、许可证もつけてね」
「ありがとうございます」
“算了算了,反正也要在来校登记本上登记的。之后,拿着许可证进去就行了。”
“谢谢您。”
言われた通り、守卫室で来校者记录帐に名前と住所、目的を记入して许可证を首から提げ、哲雄は升降口へ向かった。
照老警卫所说的,哲雄在来校登记本上写清了自己的姓名、住所以及来校目的,将许可证挂在脖子上后,就向楼梯口走去。
守卫には申し訳なかったが、先生に挨拶をしたいという话は嘘だった。
实在很对不起老警卫,其实要去看望老师的说法纯属子虚乌有。
擦れ违う生徒たちからの惊きと奇异の眼差しを浴びながら、足早に中庭へ出て旧校舎へ向かう。
在擦身而过的学生们投过来的惊奇眼光中,哲雄快步穿过中庭,走向旧校舍。
部活动の时间のためか、教室が部室として使用されている旧校舎は静まり返っていた。
可能是因为错过了社团活动时间吧,只有在社团活动时间才会将教室暂作活动室使用的旧校舍,现在,万籁俱寂。
今は使われていない升降口を抜けて阶段を上る。在学していた时は気にならなかったが、今见る旧校舎は痛みがひどい。
穿过已无人进入的楼梯口,踏上楼梯的台阶。上学的时候根本没有特别在意过,而如今,眼中这旧校舍已成为痛感鲜明的存在。
それに、体格も身長も当時とあまり変わっていないはずなのに、建物自体が一回り小さく感じられた。
而且,和那时比起来自己现在的身材和身高应该变化不大才对,可这栋建筑物却像整整缩小了一圈似的。
階段を上っている間、哲雄の頭の中を様々な記憶が走馬灯のように駆け抜けていった。
拾级而上的时候,形形色色的记忆残片像走马灯一样在哲雄的脑中回放着。
思い出と呼ぶにはあまりにも生々しく異様な出来事の数々。夢だったのではないかと思うほどだ。
将之称为回忆的话,如许多的奇异事件又偏偏生动异常。甚至会令人生出一切皆为梦境的错觉。
この階段も、二人で上った。あの時は必死だった。先のことなんて何も考えてなくて、とにかく……一緒に帰ろうと、ただそれだけを考えていた。
这台阶也是一样,那个时刻,两人一起走过。怀抱最后的觉悟。之后怎样完全没去想过,总之……要两个人一起走。脑子里只有这个念头。
そして、今も。強い衝動に急き立てられて、哲雄は最上階まで階段を上った。
现在亦然。被强烈的冲动驱使着,哲雄冲到了台阶的最上层。
目の前に現れた扉のノブを捻り、勢い良く開ける。途端、すべてを飲み込むような赤い光に包み込まれた。眩しくて顔をしかめる。
轻轻转动置于眼前的门把手,门轻易地被打开了。几乎同时,赤红的天光就像淹没一切般的包裹住全身上下。炫目的颜色使人不禁蹙眉。
そう、あの時も。
こんな風に夕焼けが満ちていた。
对,和那时的夕阳一样。
一样的彩霞满天。
目を細めたまま、ゆっくりと屋上のコンクリートへ足を踏み出す。
フェンスまで辿り着くと、哲雄は赤く染まった空気を取り込むように深呼吸をした。
眯了眯眼,哲雄慢慢地踏着屋顶的水泥地面走过去。
终于走到围栏旁,哲雄像是要融进这赤红一片的空气般,深深地吸了一口气。
それから、静かに目を閉じる。
この場所で、二人で夕空を眺めた。
――なんか……今もしこの世界に2人しかいないって言われたら、そうかもしれないって思いそうだ。全てから取り残されるって、きっとこんな気分なんだろう。
然后,静静地闭上双眼。
在这个地方,二人曾经一同眺望夕阳。
——我觉得,就算被告知世界上只剩下我们两人,说不定我也会就此接受。所谓的被世界所遗弃,应该就是这种心情吧。
そう、蓉司は言っていた。
哲雄も、あの時は同じことを思った。
自分たちはこんなにも追い詰められているのに、見渡す景色は穏やかでいつもと何も変わらない。無情としか言いようのない現実。それでも……二人一緒なら、どうなっても構わないと思った。
对,这是蓉司曾经说过的话。
那个时候的哲雄也是一样,有着相同的想法。
明明那时候两人被穷追猛打的甚是狼狈,放眼望去的景色却安然恬静,未曾改变。无可言说的冰冷现实。即使如此,只要两人能在一起,还是觉得怎样都无所谓,
だから。
――ずっと、俺といろよ。
`そう告げた。
それ以外、何もなかった。
所以。
——要永远和我在一起啊。
就这样告白了。
除此之外,别无所求。
閉ざしていた目を開けると、哲雄はフェンスの向こうへ視線を投げながら歩き出した。
視界にプールが映ったところで足を止め、再び目を閉じる。
睁开一直紧闭的双眼,哲雄向围栏外投出视线,随之,脚步跟上去了。
走到泳池出现在眼前的地方,哲雄停下脚步,再次闭上双眼。
銃弾が。
蓉司の胸を貫いた。助けようとしたが、間に合わなかった。
よろめくその体をとっさに抱き締めて、動いていた。
とにかく、助けたかった。
ただその一心で、気付いたら……真っ逆さまに落ちていた。
耳に響く、自分の名を叫ぶ声。
衝撃も、水音も、何も感じなかった。
縋るように密着する体温だけが確かにあった。
叶わないと知っていても――できれば、ずっと。
一緒に、いたかった。
是子弹。
子弹贯穿了蓉司的胸部。虽然极力想保护蓉司,却还是来不及。
瞬间抱住那个身体,拖着蹒跚的步子行动的自己。
总之,要想办法救他。
脑中只有这一个念头,回过神来……已经头朝下坠落了下去。
耳边响起的,是呼唤着自己名字的声音。
冲击也好,水声也好,什么都感觉不到了。
能知道的唯有紧贴自己的那个体温。
即使知道不过是奢求——如果可能,还是希望永远。
可以永远在一起。
「……」
ふいに、暖かなものが頬に触れた。
それは蓉司がそばにいる時の空気によく似ていて、哲雄は周囲を探すように視線を向けた。
だが、求める気配はどこにもない。
確かめるように自分の頬に触れて、気付いた。
涙が流れていた。
暖かな涙が。
ふっと、思った。
蓉司と二人だけで過ごした日々。
自分は、幸せだったと。
“……”
突然,脸颊上传来温暖的触感。
和蓉司还在自己身边时的感觉几乎一样,哲雄将视线转向四周,竭力寻找着。
但是,一心所求的,终究遍寻不着。
想要确认什么似的抬手抚摸脸颊,才注意到。
自己已经泪流满面。
那是温暖的眼泪。
突然,忆起了,
和蓉司两个人一起渡过的那些日日夜夜。
自己真的,已经非常幸福。
「……、……蓉司」
呼びかけるように、そっとその名を口にした。
いないはずなのに、優しく背中を押された気がした。
枝里香が言っていたことと同じだ。
いつまでも立ち止まって、悲しんでいてはダメなのだと。
前へ、進まなければならないのだと。
“……,……蓉司”
像是呼唤对方一样,轻轻地叫出那个名字。
明明,蓉司已经不在了,为什么仍然能感觉到他在身后,温柔地环住自己。
总是停滞不前可不行,不能怀抱悲伤过一辈子啊。
一定要向前看。
――永遠に続くものって、あると思うか。
あの時、問われた言葉。
もし蓉司が今ここにいて、同じことを問いかけたら。
蓉司はきっと、こう答えただろう。
永遠などない、と。
何一つとして変わらないものはない。歩き出さなければならない。
そのために、今の自分がある。
彼へ向けて、吐息だけで小さく呟く。
你说,会有永恒存在的东西吗?
那时,问出的话。
如果现在蓉司还活着,还问同样的问题的话。
蓉司也一定会做出同样的回答。
永远这种事,不存在。
不存在一成不变的事物。必须要迈出那一步。
正是为此,自己才活到现在。
像在对着蓉司说话一样,哲雄叹息般的低语着。
――答えるように。
カルキの匂いを乗せた風が、哲雄の頬を撫でていった。
也像是有所回应般。||
泳池的味道乘着清风,温柔地抚上哲雄的脸庞。
END