2009.12.31(Release C77:2009.12.30)
Arrange from 上海アリス幻樂団 東方シリーズ、黄昏フロンティア 東方シリーズ
Compose and arrange by ししまい三号(DauGe)
Vocal, Clarinet なき
Illust 茶葉/$
【“大楽符(だいがくふ)”について】
ししまいブラザーズ久々のフルアルバムなんですが、“あれ、今回は花鳥風月の風編じゃないの?”と覚えていらっしゃる皆さん! 正解! そうです! そうだったんですけども!(笑)
実は花鳥風月シリーズのイラストをお願いしている双さんがスケジュールの都合が会わず、お休みされたのですね。僕達としてはこの四作は双さんにお願いしたいと思っているので、今回は別な曲集を作ろうということに決まりました。それが「大楽符」です(楽“譜”じゃないのねん)。大楽符は通常のシリーズではあまりやることのない、黄昏フロンティアさんの東方緋想天、および東方緋想天則からほとんどの曲をチョイスしています。 いつかやりたいな、という希望がひょんなことから形になったという状況と言えましょう。また今回のイラスト担当は“茶葉”さん。大変かわいらしいイラストを提供してくださいました! マジかわいい!
ところでししまいブラザーズは“東方紅楼夢”というイベントのときに「少楽符」というプレビュー版CDをリリースしたのですが、そこには大楽符の曲が3曲収録されていました。
通常ししまいは10曲入りのCDをリリースしますので、残り7曲だな……と思っていたら、ししまい1号からクレームが入り(^^;)、新曲は8曲足すことになったのです。
ボーナストラックを入れて計13曲。
――では何故そんなことになったか、といういきさつを下の漫画でご覧下さい……。
<< 解説マンガ >>
まあそんなわけで(^^;)、完成形は全11曲、ボーナストラック+2で13曲になりました。
それではアレンジの紹介に行きましょう!
01 恋と水と石炭と
汽笛パオーンも高らかに、一曲目は元気良く行きましょう! ということでこのアレンジを持ってきました。蒸気機関というとすごくパワフルな印象を受けるので、やはり巨大なエナジーである恋、そう、ハリケーンですね、それから石炭、水をくっつけたタイトルをつけました。メロディを吹いているのはバグパイプとオーボエで、非常に癖のある、それでいてどこか懐かしい感じにしました。
いやこの原曲、ホントにセンス良いですよね! すごく好きです。ポッポー!
02 未だ禁じられずにいる遊び
スパニッシュギターが超カッコいい原曲を、さてギターを使わずにどうやってアレンジしようかと頭を悩ませた一曲。原曲において、この曲の隠れた主役タンバリンがメタクソにカッコいいのには皆さんお気づきになりましたか? 僕はアレンジでは悩みましたがまずとにかくタンバリンだと思って、そればっかり作っていました(^^;) でもそのおかげでリズムがしっかりと聞こえるようになり、ゴツいピアノのアイデアも浮かびましたし、やっぱりこのパーカッションは天才だなと思いました。黄昏さんの曲はホントすごいです。後半は ZUN さんがよく使う“転調”に挑戦。うん、いい感じになりました。
03 水彩人形
これまたカッコいい原曲ですよね。一発で好きになってしまったラブリーな曲です。さてこのアレンジ、実はメロディを取っているクラリネットが! 生楽器なんです! そして演奏は! NAKI さんなのですぅぅぅぅぅぅ!!!
そんなわけで、アレンジにも非常に気合が入っています。オーケストラ・ストリングは二重構造にして、細かくリズムに気を遣ったトライアングルにも抜かりはありません♪ ピアノソロは楽しく、エレガントに(笑)。
それにしても、クラリネットというのは非常に柔らかく、可愛らしい音がするんだなぁと感心しました。女性が演奏するとそういう部分が際立って聞こえますね。
それで思い出したんですがハープっていう楽器はロングドレスの女性がしなやかに演奏しているイメージがありますが、あれなんかピアノを縦にして弾いてるくらい重いし、ペダルが10個くらいあって死ぬほどゴツい楽器なので男性向けなんじゃないかな~とよく思います。関係ないですね (^^;) 例によって。
04 金と銀の沈黙
上のマンガで出てきた、追加の一曲です(^^;) 改心してサービス精神に目覚めた3号は、さっそく三味線ソロを作るわけですよ(笑)。原曲にもずっと三味線が響いていますよね。さながらチョッパーベースのようです。この曲はホントにカッコいいのでアレンジしててすごくテンション上がりました。またピアノソロは改心のできばえで、我ながらホクホクしちゃいましたよ(^^;) ものすごく沢山の楽器が出てくるので、よかったらその辺も聞いてみてください!
05 閑話休題
楊琴、マリンバが織り成す東西のコラボ曲です。これは原曲がカッコいいんですよね~。そしてこの曲の隠れた主役は、実は“ギロ”という楽器なんです。後ろのほうでジーチョチョ、ジーチョチョって聞こえるパーカッションがあるでしょう? アレです。このギロのおかげで曲にイカすリズムが生まれて、比較的ゆっくりなテンポなのに軽快に聞こえるんですね。黄昏フロンティアさんの曲には、実は後ろでギロ、カスタネット、タンバリンなどがしっかりとリズムを支えていてすごく勉強になります。こーいうパーカスを自由自在に使いこなせるとカッコいいですよね!
06 針は小さけれど飲めず
星蓮船より、小さくて賢いものっていうイメージでアレンジしました。実はこの曲、頭からお尻までずーっと三拍子という東方にしては珍しいタイプの曲です(前にもこのことを書きましたが、複合拍子の曲はあってもずっと三拍子ってのは少ないんです)。ドラムがツービートなので僕も最初気づかなくて、ハタと気づいたときに「エウレーカ! 三拍子だったのか!」と Twitter でつぶやいてしまいました(^^;) ただこの曲は結構短いので、飽きの来ないアレンジをするには苦労するところです。そこで中盤にワルツっぽいピアノを入れて変化をつけたり、効果音を入れたりして抑揚を高めています。
07 臨界業火
今までの ZUN さんの曲を大きく覆す“法界の火”。心境の変化か、新しい音源を買ったのか (^^;) もっとも使われているシーンがシーンなのでアレですが、皆さんはビックリしませんでしたか? 僕はガクガク来ちゃいましたね~。もちろん良い意味で、と言いますか僕はこの曲を聴いたときに相当シビレタので、すごくピチューンですよ。このアレンジでは2種類のギターを使い、中間から展開していますがあんまりハッキリわかりませんね……(^^;) いや、なんといっても原曲が素晴らしい。いいねぇ~。
08 詩をひとつまみ
なんとも、とぼけた感じの味わい深い曲ですよね(^^ ) こういうノリの曲って非常に好きです。中国の仙人様があーでもない、こーでもないと、お酒を飲みながら色々話し合っているイメージで、僕にしては珍しくカッティング・ギターを使い、ピアノソロも控えめにして、軽快で楽しい雰囲気を作っています。お気に入り。
09 空の間に間に
これも星蓮船からですね。大変スピード感があってカッコいい曲です。笛の音色をピアノがサポートするように、軽快なパッセージを弾き続けるように心がけました。またお聞きの通りドラムが非常に複雑なので、この辺もやりがいがあって楽しい曲ですね! この曲でひとつ難しいのは、笛のメロディが長いので“どこで息継ぎを入れるか?”で悩む部分です。僕は管楽器の演奏のときはフーーッと息を吐きながら演奏するんですが(←傍目に変ですがすごく重要ですw)これは相当熟練じゃないと難しいかな~と思いました。かといってメロディを切りたくないし……難しい曲です(^^;)。
10 最後の神殿
はい、みんな大好きラストリモートです。イントロの16分音符シンセを耳コピしてて死にそうになりました(^^;) コード進行上ちょっと思いついたので、僕の好きな“チムチムチェリー”を突っ込んでいます。今回使用しているオーケストラ音源がなかなか良いスピッカートをしているので、二重構造にして白玉とリズムを合わせて作っています。大変だったんですが、この曲はししまいの4連作シリーズには入れないつもりだったのですごくラブリーです。よかったよかった。
11 暮れ六つ
やはり、最後にしっとりしたバラードのボーカル曲をアレンジしたいなと思って、またしても NAKI さんにお願いしました。古めかしい言葉を使って、夕方からだんだんと夜になっていく辺りの時間帯について歌詞を書きました。山あいの村が夕日に染まっていくところをイメージしたんですがいかがでしょうか。
“それは燃ゆる陽の赤”だとぅ!? NO! 萌ゆるのはむしろこのボーカルを聞いたオレ様だッ! そして広がりのあるコーラスと切ないディレイ! 梳る頭髪をぜひ増やしてゆきたい! ということで、NAKI さんの歌は最高です。もはや衝動的に旅に出たいレベル(^^)。
12 最後の神殿(SE入り:崩壊アレンジ)
ボーナストラックその1です。もともと「最後の神殿」にはノイズ成分が入っていたのですが、3号だけが喜んでいるフシがある点と、アルバム全体ならまだしも、一曲だけで聴くとそこに効果音が入っている意味が読み取りづらいことなどから、本編からは外しました。僕は神殿が崩れていく様子を電子的に表現したかったのですが、よかったらこちらもお聞きください! ノイズ成分以外は二つの曲に違いはありません。
13 暮れ六つ(カラオケバージョン:BPM=78)
そういえばししまいブラザーズの歌にはカラオケがないな、と思って収録したボーナストラックその2です。歌がないとカラオケというのは非常に薄く聞こえますよね。歌の偉大さが感じられます。この曲はテンポ BPM=78 で取り込めば普通に歌えるようになっているので、良かったら皆さんも自宅で歌ってみてください。
【おわりに】
今回は黄昏フロンティアさんからのアレンジが沢山ありましたが、もうこれで思い残すことはありません(笑)。僕の好きな曲ばかりでしたし、4連作シリーズには組み込めないものもあったので、ちょうどタイミング的には良かったなぁと思っています。
さて、またしても冬コミの季節がやってきました。皆さんも風邪など引かないように十分注意しつつ、良いイベントを!!
大楽符的短评(15)